投与時

投与手順

1 .ショック、アナフィラキシーへの対応の準備を行う。

2. 患者をX線透視台上に腹臥位とし、投与高位の確認を行う。

3. 穿刺針を刺入する側(患側もしくは非患側)を決定し、穿刺手段に応じて患者を側臥位、もしくは斜位にする(X線管球を頭尾側に傾けることのできるX線透視装置が望ましい)。

穿刺針を刺入する側(患側もしくは非患側)を決定し、穿刺手段に応じて患者を側臥位、もしくは斜位にする(X線管球を頭尾側に傾けることのできるX線透視装置が望ましい)。

4. X線透視下で、本剤を投与する椎間板腔がX線照射方向と平行になるよう、体位を調整する。

[斜位角の調節]

上関節突起前縁が椎間の中央部のやや後方に位置するようにする。

[斜入角の調節]

椎間板間隙がよく映しだされる角度まで管球を頭尾側方向に傾ける。

[斜入角の調節]

5. 側面像を透視し、投与する椎間板腔の位置を針などの金属マーカーで確認して皮膚刺入点を決定し、マークする。

側面像を透視し、投与する椎間板腔の位置を針などの金属マーカーで確認して皮膚刺入点を決定し、マークする。

6. 皮膚刺入点を中心に十分に広く術野の消毒を行う。椎間板穿刺に際しては厳重な無菌的操作(手術時と同様の注意)を必要とする。

  • ●消毒薬(ポビドンヨードやクロルヘキシジン塩酸塩含有エタノール)で、刺入部位中心から外に向かって円を描いて擦るように広く丁寧に消毒する。
  • ●消毒薬を塗布後、消毒されたコンプレッセン(穴あき)で覆い、十分な殺菌効果を得るために1分以上待つ。
皮膚刺入点を中心に十分に広く術野の消毒を行う。椎間板穿刺に際しては厳重な無菌的操作(手術時と同様の注意)を必要とする。

7. 必要に応じて局所麻酔をする。

リドカインなどの局所麻酔薬で皮膚刺入点の皮下に膨疹を作ったのち、針を背部面に垂直に進める。

8. X線透視下で側面像、正面像を確認しながら穿刺針を用いて皮膚刺入点から穿刺する。

[側臥位の場合]

穿刺針の刺入方向を椎間板(上下終板)と平行にし、正中面に対して45°~50°の角度から穿刺針を進める。穿刺の際、針が椎間板に当たった感覚がした際に、側面透視像で針先が椎間板中央で、かつ椎間板後縁(上下の椎体後縁を結んだ線上)にあるようにする。

[斜位の場合]

まっすぐ真下に穿刺針を進め、針先が線維輪を貫いて髄核に入る感触を確かめながら、針先を椎間板の中心に挿入する。この際、線維輪への穿刺部は、神経根の穿刺を避けるため上関節突起の2~5mm前方部分とする。

X線透視下で側面像、正面像を確認しながら穿刺針を用いて皮膚刺入点から穿刺する。

9. 椎間板内に穿刺できたら、側面像で椎体前後径の中央1/3内に針先があることを、正面像で椎弓根部陰影の内側に針先があることを確認し、側面像及び正面像の撮像を行う。

椎間板内に穿刺できたら、側面像で椎体前後径の中央1/3内に針先があることを、正面像で椎弓根部陰影の内側に針先があることを確認し、側面像及び正面像の撮像を行う。

10. 穿刺針の内針を抜き、ルアーロック付きディスポーザブルシリンジに充填した調製済みの本剤を1.0mL投与する。
なお、注入はゆっくり行い、注入時に抵抗を感じた場合、あるいは患者が異常な疼痛を訴えた場合や神経症状がみられた場合は無理に投与せず、その時点で投与を中止する。

穿刺針の内針を抜き、ルアーロック付きディスポーザブルシリンジに充填した調製済みの本剤を1.0mL投与する。

11. 投与後、穿刺針をゆっくりと抜き、5~10分程度バイタルチェックを行ったのち、離床してもらう。

2. 重要な基本的注意

  1. (5)全身麻酔下での投与は、穿刺針の神経根への接触に伴う放散痛等を感知できず神経を損傷する可能性や、アナフィラキシー等が発生した場合に発見が遅れるおそれがあるので推奨されない。

8. 適用上の注意

  1. (2)投与方法
    X線透視装置を用い、厳重な無菌操作のもと腰椎椎間板ヘルニアに罹患した椎間板内の中心に本剤1.0mLをゆっくり投与すること。
  2. (3)投与時
    1. 1)原則として正中からの経硬膜穿刺による投与は行わず、後外側経路にて投与すること。[正中穿刺により神経損傷や硬膜損傷を生じる可能性がある。]
    2. 2)造影剤等他の薬剤を腰椎椎間板内で併用しないこと。[椎間板内で混合した際の安定性、安全性及び有効性のデータがない。また、造影剤等の使用により神経症状(横断性脊髄炎、対麻痺、脳出血)等の合併症が危惧される。]
    3. 3)本剤投与時に抵抗を感じた場合は、投与を中止すること。

感染症リスク

本剤投与による重篤な感染症の新たな発現や悪化等の報告はありませんが、投与時の穿刺による感染のリスクが考えられます(椎間板造影検査による椎間板炎のリスクは0.1~0.2%と報告されています14))。本剤の調製及び投与に際しては、椎間板造影検査と同様、十分な消毒等による無菌的な操作を心掛け、本剤投与前に抗菌薬を投与するなど、適切な対策を行ってください。
また投与後、発熱や椎間板腔の急激な減少など椎間板炎が疑われる場合には、血液検査の実施、抗菌薬の投与など適切な対応を行ってください。